玄狐「 人外 -ジンガイ- 」
特別対談
長谷川稀世 鴫原桂(新派) 川上彌生(新派)
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秋田かおる(玄狐) 明美里(玄狐) 石橋直也(玄狐)
石橋 今日で稽古16日目ですね。
鴫原 あと(本番まで)2週間くらい?
長谷川 じゃ、丁度半分くらいだ。
石橋 あっと云う間ですねえ。この人外は去年の緊急事態宣言下で書いたので、あれからもう一年経った。本当に早い。
秋田 そうですね。あれから一年も経つなんて本当に早い!
石橋 今日は皆さんに人外について、ネタバレしない程度にお話を伺いたいなと思います。本当に、ネタバレしない程度に。(笑)
一同 難しい~な~(笑)
石橋 長谷川(稀世)さんが演じる甲斐那葎子と云う役は、演じてみてどうですか?
長谷川 難しいですね。まだわからない所もあります。芯のある強い女性ではあるけど、決して鉄の女でもない。情に脆い面もある。
石橋 一番人間味がある役かもしれませんね。
長谷川 強さ弱さ…その間でゆれる所が演じていて面白いですね。でも、難しい!私にくれる役はいつも難しい!(笑)
一同 (笑)
石橋 (鴫原)桂さんは前回の「咲き誇る花たち」に続いての出演ですね。今回はどうですか?
鴫原 すごく面白い!直也くんの作る芝居はその都度“世界観”が違うからね。
石橋 ありがとうございます。今回は甲斐那佳苗と云う役ですが、演じてみていかがですか?
鴫原 難しい!全役難しいよ!
長谷川 そう!全員難しい!(笑)
石橋 二反田(雅澄)さんからも「直也がくれた役の中で一番難しい」って言われました。
鴫原 そうだね。全役難しいけど、難しいからってネガティブになるんじゃなくて、難しいって事をポジティブに変えて、前に進むパワーが大事だと思うんだよね。きっと落とし所はあるからさ。だから日々ポジティブな足掻きがしたいですね。
石橋 なるほど。
鴫原 今回は、前回絡めなかった秋田くんとも絡めるから嬉しい!
秋田 姉さん!私も嬉しい!
石橋 鴫原さんの座組の居方って素敵だなあっていつも思うんです。自分の役だけではなく、他の人の演技も見て、芝居全体を見てる。どの現場に行ってもそうですか?
鴫原 うん。栄養くれーって見てる。
一同 (笑)
鴫原 自分には無いもの貰って帰ろうって思うんだよね。いろんな人の芝居を見てるだけで楽しいっすよ。
石橋 川上(彌生)さんは今回、初めての参加です。
川上 そうですね。
石橋 商業演劇で何度か共演しましたが、話をした事もなくて、今回の出演は僕からラブコールしました。
川上 はい。そうでしたね。
石橋 聞いた話によると、川上さんは酒豪なんですよね?
明美里 そうなんですか!
川上 (笑)いえいえいえ、それは…先輩(桂さん)!
秋田 姉さんは強い!(笑)
鴫原 いえいえいえ!(笑)
長谷川 新派は皆さん強いから!
一同 (笑)
石橋 川上さんは凄く台本を読まれる方ですよね。稽古場でも常に台本を読んでる。
川上 日々いろんなシーンでいろんな役の台詞が変わるから、それを見て、自分の台詞の言い方や、その場のバランスなんかを考えてますね。お腹の中は変わらないけど、いろいろと…。
石橋 渡した台本と、実際に演出して出来上がっていくものを見て、差はありましたか?
川上 ん~…いや、別に無かったかな。
石橋 えー!初めましての方にオファーする際に台本を読んでいただいたら、大体の方に、本を読んだだけで断わられるんです。でも、実際に出来た舞台を観たら「こんな舞台になるなら自分も出たかった」と云う事が多いです。僕は台本を書く時、自分が演出するのが前提なので、ト書きもあまり書かないし、稽古場で切ればいいと思っているので、演者が理解するためにわざと説明台詞が多いんです。だから僕の舞台の出演者は大半が僕の作品に出演した事がある方か、僕の作品を観た事がある方ばかりなんです。
長谷川 確かに。初めての方が読んだら…ん?ってなるかもしれないけど、出来上がるうちにすべてクリアになる。
鴫原 そう。前回の時も、すべて僕の頭の中に在るんで任してください!って云ってたもんね。(笑)
長谷川 初めての人は、台本だけで決めない方がいいかな。
石橋 願わくば僕の作った作品を観て決めてほしいですね。
鴫原 めぐつき(直也の会FINAL公演「廻る想ひ、紡ぐ月。」)を観てクソおもしれーって思ったもん。
長谷川 私、法師ノ旅を観て泣いた。
石橋 ありがとうございます。台詞もキャスティングが決まるとどんどん変わります。川上さんが出演を快諾してくれた事で、新たに書き足した台詞があります。新派にリスペクトを込めた台詞です。
川上 あー…そうね。完成台本をいただいて、あ~この台詞を…って思った。(笑)
鴫原 あ、そうか!あれはそういう事か!(笑)
石橋 お客様はどうぞお楽しみに。(笑)
秋田 皆さんは商業演劇と云われる舞台の出演が多いじゃないですか。小劇場に立たれて、何か違いってありますか?
長谷川 私は同じだと思う。
鴫原 私も。同じだよね。
川上 うん。
秋田 うちは衣裳、小道具など、すべて手作りなわけじゃないですか。過酷だなぁって思ったりしていませんか?いつもご協力いたただいてすみません。
長谷川 全然!本当に皆さん頑張ってるなあって感心します。私の若い頃は、あまり他のフィールドに出演するって事も出来なかったから、今、すっごく楽しい。私が若かったらもっと力になれたなって思います。
秋田 いえいえ!今でも十分ご協力いただいています!本当にありがとうございます!
鴫原 みんなで協力し合ってるからこその結束力があるよね!
秋田 私は直也さんと出会い、直也さんの舞台に携わってから、小劇場だけをやっていたら絶対出会えないだろうって思うような人たちとご一緒できて、本当に有り難いなと思います。日々めっちゃ勉強させていただいてます!
鴫原 日に日にやつれてない?大丈夫?
秋田 大丈夫です!(笑)
石橋 劇団公演は大変ですからねぇ。みんな身を削って、やつれながら作っています。でも、秋田の今回の役、甲斐那静江にはぴったりだけどね、やつれた感じが。けど、明美里は大変です。やつれても、元気だせ!明るく演じろ!天真爛漫にやれ!って云われるから。
明美里 はい。
川上 あれ大変だよね。自分に無いものをやるのって難しいよね。
明美里 稀世さんと鴫原さんは直也さんの作品は二回目で、川上さんは初めじゃないですか。直也演出はいかがですか?
石橋 お前なぁ、本人を前にして聞くなよ!
明美里 いや、あえて聞きます!
一同 (笑)
川上 具体的に聞かれれば具体的に言いますけど。(笑)
石橋 それが怖いの!(笑)
川上 演出家石橋直也の印象は…頑張ってるなって。私よりも○○才も下なのに凄いなあって。そんな感じ。(笑)
石橋 えー!○○才!?嘘だ!
川上 そうよ!
石橋 今おいくつですか?
明美里 おい!(笑)
石橋 では最後に、皆様にメッセージをお願いします。
川上 こんな事を云うと、自分で自分の首を絞めそうですけど…乞うご期待!!!
鴫原 僕らのエネルギーを皆様に届けたいと思います。決して明るい芝居じゃないけど、たぎるものがある。コロナ禍で下を向いてる人も、観たら温まりますよ!
長谷川 みんなの熱量も伝わると思いますし、観に来てよかったなと思ってもらえる作品になると思います。ぜひ、劇場にお越しください。
明美里 今、公演が打てるってことが奇跡だと思います。皆様と作り上げる芝居をお一人でも多くの方に観てもらいたいと思います。劇場でお待ちしております。
秋田 去年、コロナ禍により…やるはずだった公演が打てませんでした。この作品は、直也さんが、まさにその逆境の中で書いた作品であり、いろいろな“思い”がこもった作品であると思います。ぜひ、劇場でも、配信でも、観てもらえたら嬉しいです。宜しくお願い致します!!!
石橋 お客様には、リスクを背負って劇場にお越しいただくわけですから、感謝の気持ちを込めて、必ず、それ相応のものを舞台で御目にかけたいと思います。座中一丸となって良い作品を届けたい、その一心です。どうか、劇場へお越しください。本日はありがとうございました。
玄狐 「 人外 -ジンガイ- 」
2021年4月7日(水)〜11日(日)
シアターグリーン BOX in BOX THEATER (池袋)
チ ケ ッ ト 発 売 中
玄狐YouTubeチャンネルにて過去の対談動画をご覧いただけます。
今回の対談にもご参加いただいた長谷川稀世さん、
本公演「人外-ジンガイ-」にて大事な役どころで
ご出演していただく二反田雅澄さん、
狂言師の和泉元彌さんとの対談を公開しております。
ぜひご覧ください。